Perfume パフューム ぱふゅーむ テクノポップ

Perfume 声

エフェクトのかかった声を「なんか声きこえんなぁ」と感じたのは、あーちゃんだけではなかったはずです。声を楽器の一部として使う、ということが一般的でなかったとき(今でも十分に一般的ではないですが)、歌手が自分の声を加工されたというのは自分の一部が否定されたようで衝撃的だったのではないかと思います。自分の歌声でひとを幸せにするという目標に向かって歩んできたのに、ダンスと歌の人生のうちの50%を否定されたように感じたかもしれません。

 

3人の美大生がPerfumeを語る動画が動画サイトにアップされています。いくつかの項目毎におおいにPerfumeについて語るのですが、その中で3人の声について触れています。そしてその中の一人が「CDを聴いて3人の声が聞き分けられる」と語って、他の二人が驚く場面があります。なぜ驚くのか、やはりエフェクトがかかると聞き分けにくくなるからでしょう。しかも、「しゃべるように」「冷たくつきはなすように」歌ってと中田ヤスタカ氏から指示を受けた結果、確かにテクノの楽曲とケンカはしませんが、ますます聞き分けにくくなったのかもしれません。

 

インディーズの頃のPerfumeを聴くと、まだ3人の声が良く分かります。その分テクノの音楽にはマッチングしていないのかもしれません。この頃の中田ヤスタカ氏の発言にも、3人の声の特徴を語り、それぞれの声の楽曲の中での使い方について説明しています。

 

メジャーデビュー以降になると、そもそも3人が成長するに従って幼さが残る声から大人への声になっていったということ、楽曲もアイドル歌謡のような特徴を残すものから本格的なテクノポップに進化していったということ、そしてなによりもPerfumeがブレイクすることで自分たちの歌が皆に愛されているという実感から中田ヤスタカ氏の指示を素直に受け入れるようになって、3人の声とテクノの楽曲が違和感なく融合するようになったのだと思います。その結果、ますます、聞き分けにくくなったということです。

 

音楽を聴くとき、曲の中で使われている楽器を聞き分けようとしながら聴いているでしょうか。そんなことはありません。楽器の奏でる音とメロディーとテンポの融合体として、そこに自分の感情を同期させて聞いているのではないのでしょうか。中田ヤスタカ氏の狙いはそこにあるのではないのかと想像するのです。

 

亀田氏とPerfumeが語る動画で「歌声を加工することで、不思議と3人の人格を想像するんですよね、どういう娘なだろうと」とエフェクトの効果をPerfumeに説明する亀田氏がいます。聴き手が想像を膨らませてどんどん曲の世界観が拡大していく、これも中田ヤスタカ氏が狙っているところなのでしょうか。