「ぱふゅ〜む」と「Perfume」
人生って、小さい頃に立てた夢・目標に向かってまっすぐに歩めることは本当にまれなことです。夢そのものが幼稚だと気づいたり、夢の実現には余りにも自分の能力のなさに気がついたり、様々な理由で幼い頃の夢の実現を断念するほうが圧倒的です。だから、売れない時代を一生懸命頑張って、解散の危機も乗り越えて、幼い頃の夢を実現しているPerfumeを見ていると、応援せずにはいられなくなります。
人生は山登りに例えられることがあります。人生という山の頂上に向かうルートは何本もあります。どれが最善の道かという質問はあまり意味がありません。どのルートも最善なのです。ただ、自分に合った道を模索する必要はあります。自分を活かし、他人を幸せにする道が見つかれば、まさに天職に巡り会えたことになります。
「歌とダンスを通して人を幸せにして、その姿を見て自分も幸せになる」ことを誓った「ぱふゅ〜む」は、売れないアイドル時代を、どうしたらこの誓を実現できるのか、模索していました。それを迷走というひとがいるかもしれません。
Perfumeとしてメジャーデビューすると決まったものの、どうしても自分たちが歌う歌が好きになれないでいる自分が許せない、そんな気持ちのままで歌っても熱情もメッセージも伝わってきません。自分たちが歌とダンスに求めていたものは、こんなことだったんだろうか、好きになれない歌を歌って、人を楽しませたり幸せにしたりできるのだろうか。スタイルではなくて心の奥底の迷いが、メジャーデビューに対する崖っぷちの決意とは裏腹に、もうひとつの「ぱふゅ〜む」を突き動かしたのではないでしょうか。
この行動は、3人が勝手にとった行動ではなく、マネージャーのもっさんが取ってきた仕事であり、会社の了解のもとに行われたものであるはずです。模索していたのは、3人だけではなく、会社もどのような方向性で行くべきか最後の最後まで迷っていたのだと思います。
その結果、方向性が全く異なる「Perfume」と「ぱふゅ〜む」が同時に存在する時期が存在したのだと思われます。
すでに、テクノポップユニットとしての圧倒的なスタイルを確立してしまった今となっては、アキバ時代の「ぱふゅーむ」は迷走に映るかもかもしれませんが、残っている映像を見れば、そこには迷いのない全力投球の姿が活き活きと見てとれるのです。
「すべてのことが無駄ではなかった」。アキバでチラシを配り、ストリートパフォーマンスを行い、一日店長を務め、ファンとお泊りバスツァーを企画し、・・・すべてのことが「今」に繋がっているとPerfume自身が語っています。「Perfume」表記であろうと、「ぱふゅ〜む」表記であろうと。